日本代表・小山直城選手が勉強と夢を両立しながら、マラソン選手になれた秘訣とは?
東京2025世界陸上では男子マラソンの日本代表に3人が選出されました。
パリ五輪に続いて唯一、2大会連続で日本代表のユニフォームを着るのが、小山直城選手です。私たちは世界陸上に先立って、2025年7月に小山選手にインタビュー。夢を追っていた中高生時代の姿、そして世界陸上への意気込みについて話を聞きました。
今回の取材メンバー
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ほだか -
なつき -
そうや -
りさ -
あやね -
たかけん
お話を聞いたのは…?
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小山直城選手 1996年、埼玉県生まれ。東京農業大学を卒業後、ホンダに入社。陸上競技部に所属し、2023年のニューイヤー駅伝ではエースとしてチームの連覇に貢献。2022年からマラソンに挑戦し、2024年にはパリ五輪で日本代表として出場し23位を獲得。東京2025世界陸上でも男子マラソン日本代表に選出された。
マラソンを始めたのは中学から。憧れを目標に走り続けた
陸上をはじめたきっかけを教えてください。
小学校のマラソン大会で自分が得意な競技だと思ったからです。
小山選手: 小学校の校内のマラソン大会で上位の方で走れていたので、自分はマラソンが向いているのかなというふうに感じました。習い事としては野球とサッカーをやっていたんですけど、やっぱり得意なのは陸上競技。中でも長距離種目かなと思って中学校の部活から陸上を始めました。
中学の部活から始めて日本代表選手になるのはすごい!
当時は、どんな思いで走っていましたか?
憧れの舞台で走ることが目標でした。
小山選手: 中学生の頃、箱根駅伝を観戦に行ったことがありました。そこで走っていた選手がとにかくかっこよくて。いつか自分もそういう大舞台で走りたいという思いがあって、普段練習するときもそれをモチベーションにしていましたね。
中高生の頃、試合で勝つためにどんなことを考えていましたか?
その頃からレース戦略が第一でした。
小山選手: 少しでも勝てる可能性を上げたいので、レース戦略は考えるようになりました。 マラソンはペース配分が大切なので。スタート前に立つ前に今日はどのくらいのペースにしようかとか、そういうことを常に考えるようにはしていました。今の自分はレース戦略が得意なのですが、その頃に自分の強みのベースができていたのかもしれません。
途中でくじけそうなときはどうしていましたか?
「走ることが好き」という原点を思い出していました。
小山選手: 中学・高校時代はインターハイや全国高校駅伝には出場していなかったんです。当時は注目されていた選手ではなくて、結果が出ないことや苦しいこともありました。そういうときは、原点である「走ることが好き」ということを思い出して、がんばっていました。
原点に返ること、勝つイメージを持つことが重要なんですね。
学生時代は陸上を仕事にすることは考えず、目の前のことに集中!
高3の頃、埼玉代表で都道府県駅伝に出場されました。緊張しませんでしたか?
緊張は仕方ないと思って走って、結果を出しました。
小山選手: それが自分にとって初めての全国大会だったんですね。もちろん緊張もしたんですけど、逆に初めてだったから何も知らなかったのが良かったのかもしれません。緊張は仕方ないと思っていつも走っています。そこで、区間賞を取って結果を出しました。
その当時から、将来マラソン選手になろうと決めていましたか?
陸上だけでなく勉強も両方がんばっていました。
小山選手: 陸上を仕事としてできるとは全く考えていなかったですね。だから陸上がダメでも勉強の方でいけるように両方ともがんばるように意識していました。でも、高校時代に大学から勧誘をしていただけたので、そのタイミングで次のステージでもやっていこうかなというふうに考えて。ホンダに入社したのも大学で勧誘があったから。そのときどきで目の前のことをがんばっていました。
小山選手から中高生に向けて、メッセージをお願いします。
主体性を持って、やりたいことを自分の意志で
やり抜いてください。
小山選手: 自分で考えてやっていくことが大切かなと思います。主体性を持って自分のやりたいことをやる。陸上だったら、勝つためにこういうことをやろうとか、そういうことも含めて自分で考えてみる。やっぱり誰かから言われてやらされていたら、それこそきつくなったり、つらいと思ったりしてやめちゃうことになります。自分の意志を持ってやると決めたことをやり抜くのは本当に大切ですね。
いまは日本を代表する陸上の選手でも、中高生の頃は陸上と勉強の両立にがんばっていたと聞いて、力になりました!
小山選手からの3つの教え
- その1:挫折しそうな時は、原点に返ってみるべし
- その2:目の前のことに全力を尽くすと将来につながる
- その3:自分の意志で決めたことをやり抜くべし
世界陸上では東京開催のアドバンテージを活かしたい
パリオリンピックは小山選手にとって、どんな経験になりましたか?
目標に届かず悔しい結果でしたが、達成感はありました。
小山選手: オリンピックは陸上を続けている上で、一回は出ておきたい大会だったので、出られたことは本当にうれしかったんです。パリオリンピックでは8位入賞が目標で、実際の順位が23位。悔しい結果となってしまったのが今でも心残りです。でもゴールした後は、オリンピックに向けてたくさん練習してきたので、現状の力を出し切れてやりきったという達成感がありました。
陸上選手にとって世界陸上はどんなものですか?
世界陸上の代表で勝てることは本当に価値があります。
小山選手: まず世界陸上に選出されるというのは本当に大変なことなので、自分自身この代表を内定獲得できたことは本当にうれしく思っています。日本代表のユニホームを着られるということは子供の頃からの憧れでもあったので、それを着て走れるのは本当に今から楽しみです。世界陸上は2年に一度、オリンピックと同レベルの選手たちが集まってくるので、ここで勝てることは本当に価値のあることかなと思っています。
普段はどんな練習をしていますか?最長で走った距離はどれくらいですか?
1回の練習最長距離は45km、月間800kmです。
小山選手: 1回の練習最長距離は45kmです。フルマラソンが42kmだからそれに向けての練習は大体45kmです。 1日だと70kmくらいは走るかもしれないです。 距離走という練習をすると、だいたい平均的には1日30km。月間だと休みの日を入れて800kmくらいを走っています。
大きな大会で緊張した時は、どうしていますか?
成功したイメージを持つようにしています。
小山選手: 自分が緊張するときは大体レースで失速したり失敗するときのことを考えると緊張したのかなというふうに最近思うことがあって、逆の成功した勝つイメージをするようには意識しています。
東京開催の世界陸上の目標や意気込みを教えてください。
自国開催のアドバンテージを活かしたいです。
小山選手: 移動距離が短く、日本の食事が食べられるのは大きなアドバンテージです。この利点を最大限活用しながら走りたいと思っています。自国開催なのでたくさんの方々が応援に来てくれて、日本語での応援がたくさん聞けると思います。応援を力に変えて最後まで元気な姿でゴールできるように頑張りたいと思っています。
自分の走りのここを見てほしいというポイントはありますか?
レース戦略に注目してください。
小山選手: 自分はレース戦略の組み立てが得意なので、自分自身の走る位置取りやコース取りを見てもらいたいなと思っています。気温が高くてハイペースにならないことが予想されます。集団にしっかり最後までついていって、後半のラスト10kmからどんどんペースが上がっていくと思うので、そこでしっかり対応できるような準備をしていきたいです。
小山選手の活躍を楽しみにしています。がんばってください!
東京2025世界陸上の男子マラソンで小山選手は23位でゴールしました。マラソンコースでは沿道の大きな声援が励みになったようです。そして早くも次の大会に向けて、準備されています。小山選手の次の挑戦にも期待したいです!
クイズに挑戦 !!
クイズで楽しく振り返ろう!
Q.小山直城選手が陸上を始めたのはいつですか?
*答えは記事の最後に掲載。記事の中にも答えがあるよ!
小山選手のインタビューを終えて
りさ
将来の夢について 焦り過ぎなくてもいい
あやね
私たちの応援が 選手の活躍する力になれる
小山選手の中高生の頃の話を聞いて、自分たちの将来について「 高校生だと、今から夢や仕事を決めないといけないと思っていました。でも小山選手が部活も勉強も両立して、自分の夢であるマラソン選手になれたことを聞いて、そこまで焦りすぎなくてもいいなと思えました (りさ)」と目の前のことに集中することの大切さがわかったという感想があがりました。
また世界陸上について「スポーツが苦手なので、選手を特別な存在だと思っていました。でも、日本語の応援が力になると聞いて、私たちも当事者として日本の選手が活躍できる要因になるんだというのが新しい発見でした(あやね)」という感想もあり、スポーツ選手から得られる教訓をさまざまな角度で感じることができました。
- クイズの答え:
- C. 中学1年生