中学生・高校生が聞く!
東京の洪水を防ぐ!都民の生活を守る、東京都の河川整備事業
Part.2 東京都水防の要、防災対策室を直撃!
Part.1の環状七号線地下調節池に続き、取材メンバーが向かったのは東京都庁。
ここにある防災対策室は「水防室」と呼ばれ、東京都内の気象の情報や河川の状態などを監視し、区市町村やPart.1で見学した調節池などに情報伝達を行う、いわば司令塔の役割を担っています。
東京都民の暮らしと財産を守る水防システムとは?そして水害に備えて、私たちにできることは何があるの?
取材メンバーが迫りました!
今回の取材メンバー
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たかけん Takaken -
しずな Shizuna -
りっせん Rissen -
なつき Natsuki -
ほだか Hodaka
お話を聞いたのは…?
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北川淳一さん Mr. Kitagawa
建設局 河川部防災課
訪れたのは…?
東京都庁
西新宿にある東京都庁。今回はこの中にある、東京都建設局河川部 防災対策室に伺った。
都民を水害から守る!水防に関する東京都の司令塔
ここは都庁の中にある、防災対策室という場所です。私たちは「水防室」と呼んでいます。皆さん「水防」っていう言葉、聞いたことありますか?
あまり聞かないですね。
そうですよね。同じような言葉に「消防」があります。
北川さん: Mr. Kitagawa: 消防は皆さん聞いたことがあると思います。火災を警戒したり消火活動をすることですよね。それに対して、水の災害を警戒したり、あふれそうになっているところを止めたりすることが水防です。Part.1で見学した環状七号線地下調節池では洪水の注意報が出たら参集すると言っていましたが、そうした情報もここから発信しています。気象庁から大雨注意報や大雨警報などの情報を収集し、モニターでいろいろな川の水位を監視し、先ほどの第三建設事務所などの各事務所、区市町村などに情報を伝達します。
ここには24時間365日、休日夜間も必ず人員が配置されています。都道府県によっても違いますが、東京都では大雨注意報や洪水注意報などの注意報が出たら、「連絡体制」という体制に入り、2~3人がここに参集します。
さらに大雨警報や洪水警報などの警報が出たら、「警戒配備体制」が敷かれ、ここに「水防本部」を立ち上げ、10人くらいが集まります。
この、板の看板ですね?
そうです。普段はここにかけてありますが、これを表にかけ、「警報発表中」「注意報発表中」など、今どういう状況なのか、河川部の人間がわかるようにしています。
北川さん: Mr. Kitagawa: さらに緊急性が高まると第一非常配備体制となり、都内のいろいろな場所で川があふれた、ということになるとどんどん人が増えていき、最終的には第四非常配備体制となり、河川部の人員150人全員で対応に当たります。
これまでに第四非常配備体制になったことってあるんですか?
まだありません。
北川さん: Mr. Kitagawa: 東京都は他の都道府県に比べるとやはり大規模な災害が少なく、これまでは第一非常配備体制までです。ただ、これは今後も無い、という理由にはならないので、常に気を引き締めていきたいと思っています。
ホームページやYouTube、Xなど、さまざまなツールで都民に情報を発信
いろいろな河川の水位のデータや降雨のデータ、また、調節池にどれくらいの水が溜まっているかなどのデータや監視カメラの映像を「水防災総合情報システム」に集め、これをネットで公開しています。
また、河川の水位をリアルタイムでYouTubeの「東京都水防チャンネル」で配信しています。
北川さん: Mr. Kitagawa: 55の河川、174カ所のカメラの映像を公開していますので、もし、家の近くに川が流れている、という場合には、活用していただければと思います。氾濫危険情報などが発表された場合は、Xでも情報発信を行っています。
東京都建設局のホームページでは、さまざまな施設を360°バーチャルツアーで見ることができます。
北川さん: Mr. Kitagawa: これは、注意報や警報とは関係ないんですが、東京都建設局のホームページでは、さまざまな施設の360°バーチャルツアーというものを見ることができます。Part.1で行った環状七号線地下調節池をはじめ、さまざまな施設を見ることができるので、ぜひご覧になってみてください。
東京都の河川整備は1958年の狩野川台風がきっかけだった!
東京都の豪雨対策は、いつ頃からその取り組みが始まったのでしょうか?
1958年9月、狩野川台風という台風によって、非常に大きな水害がありました。これを契機に現在の東京都の河川整備が始まりました。
北川さん: Mr. Kitagawa: 河川の整備は、川幅を拡げて洪水を防ぐという整備が基本であり、1964年から時間30㎜の雨に耐えられる河川整備を始めました。昔に比べると現在は雨の降り方がだいぶ変わっており、現在は時間50㎜に耐えられる川幅を確保する整備が続けられています。しかし最近では時間100㎜という量の雨がしょっちゅう降るようになっています。そのため、Part.1で見ていただいたトンネル式の地下調節池や、川のそばの土地を掘って水を溜める掘り込み式の調節池、トンネルよりも小規模な地下箱式の調節池などを造って、洪水に備えています。
調節池以外にも水害対策ってあるんですか?
川幅を拡げる、調節池を造るという以外に、もう1つ分水路があります。下水道局も一時的に水を溜められる貯留施設を造っています。
北川さん: Mr. Kitagawa: 分水路は川幅が拡げられない場所で、違うルートで川を作り水路を分けて流すような整備です。あとは川の底の部分、河床を掘削して河道を確保する、という対策もあります。
建設局河川部ではそうした河川の整備を行っているんですが、下水道局でも豪雨対策を行っています。降った雨水は下水道を通って川に流れますが、川がいっぱいになってしまうと、下水道から入って来られなくなって、内水氾濫を起こしてしまうんです。最近マンホールから水があふれたり、マンホールの蓋が飛んでしまった、というニュースを見ることがありますよね。あれが内水氾濫です。内水氾濫を起こさないために、下水道局も大雨が降ったときに一時的に水を溜めるような貯留施設を造ったりしています。
下水道はまた別なんですね!
知りませんでした。
取った水を溜めるのではなく、そのまま海に流す「地下河川化」計画
今後予定されている、新たな対策があれば教えてください。
東京都では現在、地下河川化という計画を進めています。
北川さん: Mr. Kitagawa: 現在行っている、環状七号線地下調節池と白子川地下調節池をつなげる工事もその計画の一部です。環状七号線地下調節池は神田川のところで止まっていますが、目黒川に向かって掘り進め、さらに環状七号線に沿って海までつなげ、取った水をそのまま海に流す、という計画です。ただ、完成までにはかなり長い年月がかかる予定です。
今日見学した環状七号線地下調節池も、かなり地下の深い部分にありましたが、海に流すにあたって、海抜の問題は無いんですか?
そうですね。環状七号線地下調節池に向かって階段を降りたとき、途中にA.P.0という表示があったと思いますが、そこが海抜0ⅿです。トンネルはさらに深いところにあるので、最後に海に流すときにはポンプで汲み上げて流す計画です。
ほかにも現在計画されている調節池はありますか?
現在、全部で8カ所の調節池の工事が進められています。中でも石神井川上流に造っている地下トンネル式の調節池は、直径14.5ⅿの地下調節池になる予定です。
調節池の整備にはかなりの予算が
ついているんですか?
痛いところを突いてきますね(笑)。
北川さん: Mr. Kitagawa: 予算はつきます。2025年7月10日にも鷺宮という調節池がいっぱいになりました。この効果を見て、都としてもやはり調節池は必要だ、という評価がなされています。ただ施設が増えれば増えるほど、維持管理の負担が増えていく、というつらさもあります。
河川の整備や豪雨対策のお仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか?
長い年月をかける工事なので、
完成したときの思いはひとしおです!
北川さん: Mr. Kitagawa: たとえば環状七号線地下調節池は工事の着工から完成までに20年ほどかかっていますし、他の地下トンネル式の2カ所も10年ほどかかっています。川幅を拡げる工事にしても、分水路を造る工事にしても、とても長い期間がかかります。私たち職員には異動もあるので、すべてを見届けることはなかなかできないんですが、異動して、また戻ってきて同じ工事に関わる、ということもあります。それだけの長い年月をかける工事なので、やはり完成したときの思いはひとしおです。そして、その施設がちゃんと効果を発揮して、大雨のときに洪水が抑えられると、ああ、都民の皆さんの命と財産を守ることができた、と感慨深いですね。
大雨や台風のときに私たちの取るべき行動は?また、普段からできることは?
大雨や台風の予報が出たときに、中高生の僕たちは、どんな行動をすればいいのでしょうか?
基本は外出しないことが一番です。
北川さん: Mr. Kitagawa: どうしても出かけなければならないときは、ニュースや先ほどご紹介したようなホームページ、気象庁のホームページなどで、これから数時間先の雨の状況はどうなのか、出かける先で河川の氾濫の危険は無いのかなど、皆さんお持ちのスマホで情報を確認し、自分の行動をどうするかを考えていただきたいと思います。
また、冠水している道路にはやはり近づかないで欲しいんです。冠水していると下がどうなっているのかわかりません。段差があるのか、穴が開いているのか、見えませんよね。先ほどお話ししたようにマンホールの蓋が外れてしまっている可能性もあります。家の前まで冠水してしまっていて、どうしてもそこを通らなければいけない、という場合は傘などで足元を確認しながら、慎重に歩いてください。冠水している場合は長靴も危険です。長靴に水が入ると足が持ち上がらなくなってしまいます。サンダルなどもすぐに脱げてしまうので、スニーカーなど、しっかり足が覆われているものが良いでしょう。万が一避難をする際のために覚えておいてください。
私たちが普段から準備しておけるようなことはありますか?
まずは皆さんが住んでいるところにどういうリスクがあるのか、ということを知っていただきたいと思います。
北川さん: Mr. Kitagawa: 各区市町村からハザードマップが配られていると思うので、自分の家が浸水する地域なのか、土砂災害の影響を受ける地域なのか、内水によって浸水する地域なのか、ということを確認してください。そしてハザードマップには避難所も記載されていますので、避難の必要がある場合はどの避難所に行くのか、避難所までの経路も確認しておいてください。もちろん避難と言っても必ず避難所に行かなくてはいけない、というわけではありません。家の中で高いところに避難する、垂直避難という方法もあります。どれくらいの浸水のときにどういう行動をするのか、そういったことを事前に想像し、家族とも話し合っていただきたいと思います。たぶん皆さんが今日勉強をしたようなことを、大人は知らない人が多いと思うので、ご家族にも教えてあげてください。あとPart.1のところでもお話ししましたが、我々はこうした情報発信(事業のPR)があまり得意ではないので、ぜひアイデアをいただければと思います!
防災対策室で見つけた、不思議なモノについても聞きました!
ファックスが4台もあるんですけど、今でもファックスって使うんですか?
ここにあるファックスは、災害時に強い無線ファックスです。
北川さん: Mr. Kitagawa: 今どきファックス?って思うかもしれませんが、災害時にはインターネット系のシステムがつながらなくなってしまう可能性があります。ここにあるファックスは無線ファックスで、災害時に強いものです。もしものときに備えて、いろいろな情報収集・発信のルートを確保しています。
この四字熟語はなんですか?
部の投票で決めた、今年の四字熟語です。
北川さん: Mr. Kitagawa: これですね?実は建設局河川部では、毎年四字熟語を募集して、部の投票で今年の四字熟語を決めるんです。「おだやかな1年でありますように」という思いを込めて、今年はこの「平穏水如」に決まりました。
私はこのダルマが気になってるんですが…。
毎年ダルマを買って河川部の名前を入れてもらい、群馬県の高崎市にあるお寺でお祓いをしてもらいます。
北川さん: Mr. Kitagawa: 出水期(6~10月)が始まる前に、「今年は水害がありませんように」という願いを込めて片方に目入れをし、出水期が終わったときにまた目入れをして、高崎市まで奉納しに行きます。
河川整備や水防対策のPR案を考えてみた!
3Dですごい量の雨を東京に降らせ、その水がどのように今回見学したような施設で処理されていくのかを、わかりやすく見せる。地下鉄や地下街など東京の地下がどのように入り組み、どう使われているのかがわかるような立体図があれば、自然と水防施設についても知る人が増えると思うし、大人でも見たい人が多いのではないか。
地下調節池はとても暗いので、ホラー映画の撮影に向いているかも?
オーケストラが演奏したこともあると聞いたけど、オペラをやってもステキだと思う。
消防や救急のように一般の目に付く職業の方と比べてわかりにくいので、建設局河川部が何をしているのか、その取り組みをわかりやすく説明するポスターを作って掲示するといいのでは?調節池の模型を街中に展示するのもいいと思う。
水防に携わっている方々の日々の気付きや思っていることをSNSで発信する。
「東京都こどもホームページ」の「バーチャル社会科見学」で、自分の身長を入力すると、その目の高さで体験できるといいな。
この事業に関わっている職員の方が主人公のマンガやドラマがあるといいかも。
リアル(対面)でのイベントをもっと増やしていくといいと思った。
クイズに挑戦 !!
クイズで楽しく振り返ろう!
Q.環状七号線地下調節池の工事は、着工から完成まで何年かかった?
*答えは記事の最後に掲載。記事の中にも答えがあるよ!
取材を終えて
たかけん Takaken
地下河川化の計画が進行中であることは、とてもおもしろいし興味深いので、周囲にも伝えたいと思いました。
しかたのないことではあるけれど、実際に被害があったから
しかし現在は、今後実際に来るかどうか
しずな Shizuna
川が氾濫した際の避難場所を、家族や親戚としっかり確認しあいたいと思いました。
ハザードマップを見ると、家から一番近い川が仮に氾濫してしまうと、確実に洪水に巻き込まれる地域なので、共通の避難場所を確認しあって
りっせん Rissen
仕事のやりがいが、縁の下の力持ちとして「都民の命と財産を守れたと感じたとき」なのが素敵だと思いました。
また、新しく調節池をたくさん建設していることは
東京都が防災に力を入れていて、自分たちが払った税金は
なつき Natsuki
地下トンネル式調節池が果たす役割を知って、正直に言えば、このトンネルを使うような水害が来ないといいな、と思いました。
しかし、万が一に備えた体制は都市が未来に続くためにも必要で、特に最終的には地下に川をつくって、海に排水したいという計画を知り、計画を考えた人、それを実行している人、オペレーションの人々も含めて、何気ない平穏な一日の暮らしが、こういった人たちの知恵や行動で守られていることを
ほだか Hodaka
「大雨や台風の予報が出たときに
発信されている情報などを
- クイズの答え:
- B. 20年