中学生・高校生が聞く!
東京の洪水を防ぐ!都民の生活を守る、東京都の河川整備事業
Part.1 環状七号線地下にある巨大調節池に潜入してみた!
25mプール約1800杯分の水を貯められる、環状七号線地下調節池
近年、地球温暖化によるゲリラ豪雨や台風被害などで、河川の氾濫注意情報や洪水注意報などを耳にすることが増えてきました。
東京都では、河川の氾濫による洪水を防ぐため、川幅を拡げたり河床を掘り下げる河道整備、洪水の一部を貯留する調節池や、洪水の一部を別のルートに分けて流す分水路の整備など、さまざまな河川整備を行っています。
今回は環状七号線の地下に造られた、巨大トンネル式調節池に潜入取材してきました!
今回の取材メンバー
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たかけん Takaken -
しずな Shizuna -
りっせん Rissen -
なつき Natsuki -
ほだか Hodaka
お話を聞いたのは…?
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北川淳一さん Mr. Kitagawa
建設局 河川部防災課 -
木村さん Mr. Kimura
第三建設事務所
工事第二課施設維持担当
訪れたのは…?
神田川・環状七号線地下調節池 善福寺川取水施設
神田川・環状七号線地下調節池は、水害が多発した神田川中流域の水害に対する安全度を早期に向上させるため、環状七号線の道路下に造られた、神田川、善福寺川、妙正寺川の洪水を貯留する施設。
まずは模型で、地下調節池のシステムを学ぼう!
今いるのは環状七号線の地下調節池の施設の一部で、善福寺川取水施設です。
木村さん: Mr. Kimura: 環状七号線の真下に全長4.5㎞のトンネルが掘られていて、3つの川を横断しています。一番北にあるのが妙正寺川、次は善福寺川、一番南が神田川です。3つの川にそれぞれ取水施設があります。川の水位が一定以上になり、氾濫の危険が出てくると、ゲートを開けてこの調節池に水を取り込みます。この施設で最も重要な操作はゲートを開けて街に水があふれないようにすること。普通はゲートを開けるのって上に上げて開けるイメージがあると思いますが、この施設ではゲートは下に降ろして開けるシステムです。災害時に停電になったとしても、ゲート自身の重さで下に降ろし、ゲートを開けることができます。ここに溜まった水は自然に抜けていくことは無いので、川の水位が下がったら、ポンプで水を汲み上げて、川に戻します。
もしここの地下調節池いっぱいに水が入っていたら、水を川に戻すのにどれくらい時間がかかるんですか?
その間にまた、洪水の怖れがあるような雨が降っても大丈夫なんでしょうか?
排水するためのポンプをすべて稼働させると、約48時間で水を吐ききることができます。
木村さん: Mr. Kimura: この環状七号線地下調節池は25mプール約1800杯分の水を貯めることができます。排水するためのポンプはここに2台、神田川の取水施設に2台ついていて、すべて稼働させると毎分約200トン、約48時間で水を吐ききることができる計算です。過去の統計から洪水発生の可能性がある雨が降った場合、同じ場所にその規模の雨が降るのは2日間くらい間が空くだろう、ということで、この規模で設計されています。
安心しました!(笑)
妙正寺川、善福寺川、神田川の3カ所の取水施設を管理する中央制御室
ここが中央制御室で、監視制御を行うための、モニターや機械類が置いてあります。
木村さん: Mr. Kimura: 普段は機械だけなんですが、我々第三建設事務所が所管する新宿区、中野区、杉並区の3区に気象警報等が発令されると、ここに職員が参集して監視を行います。今年も一度取水を行い、そのときは調節池全体の20%ほど水が入りました。過去に一度だけ、2013年に満水になったことがあります。平均すると年に2回ほど、取水を行ってこの地下調節池に水を入れています。監視地点の護岸には、取水を開始する水位を示した白線の下にもう1本点線があります。取水後に水位が下がりこの点線が見えてきた段階で一度ゲートを閉めて取水を中断し、また上がってきたらゲートを開けて取水を行う、ということを繰り返します。これは調節池が満杯になってしまって、次に雨が強まったときにもう取り込む容量が残っていない、ということを防ぐためです。
普段ゲートを開けたままにしていると、常に水が入ってくる状態なんですか?
可動式のゲートよりも川側に固定堰という仕切り板のようなものがついていて、川の水位が一定以上まで上昇しないと、そもそも水が入ってこないようになっています。
なるほど!
誤操作が起こらないよう、操作は必ず2人で二挙動操作を実施
実際にゲートの開け閉めを行うのが、このパネルです。
木村さん: Mr. Kimura: 開ボタンを押してゲートを開けるんですが、誤って操作をしてしまうと大きな影響が出てしまうため、ヒューマンエラーを防ぐために必ず“二挙動操作”を行っています。開ボタンを1回押しただけではゲートは開きません。開ボタンを押すとボタンが点滅するので、もう1人の職員が正しい動作であることを確認した上で、実行ボタンを押します。これで初めてゲートが開くんです。あと、普段はボタンの表面にアクリルパネルをかぶせておいて、何か資料を置いてしまったり、職員が誤ってボタンに触ったりしてしまわないようにしています。妙正寺川、善福寺川、神田川のすべての取水、排水をここで管理しています。
何人で操作するんですか?
ここで操作するのは2人です。
え、2人だけ!責任が重い…。
確かにそうですね(笑)。
ただ、ここには2人ですが、第三建設事務所の本部に管理職がいて、連絡を取り合いながら操作しています。
いよいよ地下調節池に潜入!
ここまで来るとかなり涼しいですよね。大体地下40mくらいなんですが年間通して16~18℃くらいです。
涼し~い!ちょっと寒いくらい。
外は35℃くらいあったのに…。
ここは減勢池と言って、取水した水はまずここに落ちてきます。
木村さん: Mr. Kimura: ここには常に水を貯めておいて、上から落ちて来た水の衝撃を水で受け止める、ウォータークッションの役割をしています。ここはウエットエリアですが、横にある潜水艦のような厚い扉の向こうは機械室になっていてドライエリアです。ドライエリアに水が入ると機械がすべてダメになってしまうので、この扉が閉まっていないとゲートを開けて水を入れることができません。この扉が閉まっているかどうか、ということも先ほどの中央制御室で監視しています。
環状七号線地下の調節池につながる導水連絡管
ここは環状七号線地下の調節池に続く、導水連絡管です。
木村さん: Mr. Kimura: 直径は6.4m。先ほどの減勢池に落ちた水がここを通って、地下調節池に流れ込みます。この絵は2001年、まだ建設中のときに、小学校4年生が描いてくれたものです。2001年に流行っていたものなども描かれていておもしろいですよね。
絵はここで描いたんですか?
いえいえ。地上で描いてもらったものを搬入して組み立てました。
直径12.5m、妙正寺川から神田川まで続く、全長4.5㎞の地下調節池
今いるのは善福寺川、このトンネルを北に進むと妙正寺川、南に進むと神田川です。
木村さん: Mr. Kimura: 円形のトンネルの底の部分は車両1台が通れる幅くらいしか無いんです。導水連絡管から続くこの場所が平らに盛り上げてあるのは、このトンネルの中で清掃作業や補修などさまざまな作業をすることがあるので、車両がすれ違ったり方向転換をするための場所をつくるためです。すべてこのように盛り上げてしまうとトンネル全体の容量が少なくなってしまうので、こうした場所を3カ所造ってあります。
導水連絡管に向かって大きな声を出すと、やまびこみたいに響きますよ。
あーーーーーーーー
うわ、響く!しかもすごい長い間、響き続けてる!
年に何回かこの場所でイベントを行うこともあって、阿波踊りが披露されたり、オーケストラの演奏が行われたこともあります。
オーケストラ、聞いてみたいです!
地下調節池について、さらに深堀りインタビュー!
どのような経緯で、こうした地下調節池が整備されることになったのでしょうか?
地下に調節池を造り洪水を防ぎながら、河川自体の整備も同時に進めています。
北川さん: Mr. Kitagawa: 東京都にはこの環状七号線地下調節池以外に、白子川地下調節池、古川地下調節池と、合計3つの地下調節池があります。基本的に河川の整備というのは川幅を拡げるというのが王道です。しかしどうしても大変な時間がかかり、さらに東京は川の近くまでビルが建っていたり民家があったりするため、簡単ではありません。そのため、地下に調節池を造り洪水を防ぎながら、河川自体の整備も同時に進めています。
確かに。川幅を拡げるのは簡単ではないですよね。
3つの地下調節池の大きさを教えてください。
環状七号線地下調節池は25ⅿプール約1800杯分です。
北川さん: Mr. Kitagawa: 先ほど皆さんに見ていただいた環状七号線地下調節池が一番大きくて、総貯留量は54万㎥。小学校にあるような25mプールで換算すると約1800杯分です。白子川地下調節池は総貯留量21.2万㎥で25mプール約700杯分。一番小さいのが古川地下調節池で、総貯留量は13.5万㎥、25mプール約450杯分の水を貯めることができます。
えーっと、そうすると全部で25mプール2950杯分?もう想像がつかない量ですね!
この環状七号線地下調節池と白子川地下調節池をつなげる工事が始まっていると聞いたんですが、どんな工事なのでしょうか?
長さ4.5㎞の環状七号線地下調節池と、長さ3.2㎞の白子川地下調節池をつなぐ工事で、完成すると全部で13.1㎞の地下調節池になります。
北川さん: Mr. Kitagawa: 総貯留量は143万㎥。25mプールで言えば約4,800杯分です。つながると相互調整ができるようになり、たとえば局所的に1時間100㎜を超える雨が降っても、街に水があふれない地下調節池としての効果が見込まれています。工事は2017年から始まっており、2027年度の取水開始を目指しています。環状七号線の直径12.5mよりもさらに大きい、直径13.94mあるシールドマシンという機械で、土を削りながら掘り進めています。
機械がほぼ14m。でっかい!
そんな大きな機械、どうやって工事をするところまで運ぶんですか?
分割して垂直に掘られた穴から搬入し、中で組み立てるんです。回収するときもまた分割して搬出します。おおよそ100分割にするそうです。
100分割!組み立てるのも大変そう…。
河川の整備を進めていく上で、苦労されているのはどんなことですか?
やはり用地の確保ですね。いつも悩まされています。
北川さん: Mr. Kitagawa: 東京のように都市化が進んでいると、川幅を拡げるにしろ、調節池を造るにしろ、また、このような取水施設を造るにしろ、一番難しいのは用地の確保なんです。安心安全のためには、少しでも早く必要な整備を行いたいところですが、用地の確保にはいつも悩まされています。
僕の家は川に囲まれていて、いつも洪水にならないか不安になるんですけど、こうした大きな地下調節池以外に、小さいのをたくさん造ったりはできないのでしょうか?
実は、こうした大型の地下調節池だけでなく、掘り込み式と言って土地を掘って流し込む調節池や、トンネルではなく地下に建物を造って水を貯めるような調節池など、小規模な調節池もたくさん造ってるんです。
そうなんですね!知らなかったです。
安心しました。
台風や大雨のとき、こちらの施設では職員の方はどのような対応をしているのでしょうか?
先ほど見ていただいた中央制御室に職員が参集し、河川の水位を監視し、ゲートの開閉操作を行います。
木村さん: Mr. Kimura: 気象警報等の発令で参集するんですが、発令されたら24時間365日、どこにいても参集します。とにかく早く集まることが大切なので、夜間だとタクシーを使ったり。ローテーションを組んで当番の日が決まっているんですが、家が近い職員、少し時間がかかる職員、いろいろなので、1人は必ずすぐに来られるような組み合わせの体制になっています。注意報が発令されそうな日は、発令されたらすぐに動けるよう、心構えをしています。
治水工事って国ではなく、
都や県が行うものなんですか?
河川によって分かれています。通常一級河川は国の管理です。
北川さん: Mr. Kitagawa: 多摩川や荒川などの大きい河川は国が管理をしていますが、神田川などは指定区間として、都道府県に委任され、国に代わって都道府県が管理をしています。
工事や維持管理をするときのモットーは何ですか?
やはり安全が第一です。工事をする方が安全な体制で工事ができるような発注の仕方や、安全管理を徹底してもらうことを心がけています。
今回私たちは東京都の洪水対策についていろいろ知ることができましたが、広く都民に発信していくために、どんなことが必要だとお考えですか?
痛いところを突かれてしまいました(笑)。
ぜひアドバイスをください!
北川さん: Mr. Kitagawa: 実は常々広報が下手だと言われているんです。河川愛護月間などでいろいろとイベントも実施しているんですが、まだまだ十分ではないと思います。皆さんの目線で、どんなことをしたらいいのか、ぜひアドバイスをください!
クイズに挑戦 !!
クイズで楽しく振り返ろう!
Q.地下トンネルを掘る機械は何分割して運び入れられる?
*答えは記事の最後に掲載。記事の中にも答えがあるよ!
取材を終えて
たかけん Takaken
東京の地下に眠る巨大構造物の一端を見ることができ、そして実際にそれを運用する場所にも行けて
こうした構造物が存在することすら知らなかったので、今回取材できたことはとても意義深かったと思いました。
しずな Shizuna
自分たちが歩いているところの下には、とても大きい空洞があって、川の氾濫を防ぐ仕組みが何kmも続いているということを
ニュースやテレビで見る、川の氾濫の危険性は、こういうところで防いでくれているというのを伝えたいです。
りっせん Rissen
近年、気候変動によって
私の家の近くにも川があり、豪雨の時はいつも洪水注意報・警報がでているため、地下調整池などの設備が
なつき Natsuki
取材を通して、調節池がどのようにして運営されていて、どのようにして私たちの安全な暮らしを
実際に行ってみた地下調節池は、想像の何倍も大きく、そして想像の何倍も多くの人が
こういった人々の努力があってこそ
ほだか Hodaka
環状七号線地下調節池では、ハード対策として水位をどのように下げているのか
巨大な地下施設はとても迫力があったことを
また、整備を進めていくうえで
- クイズの答え:
- B. 100分割