中学生・高校生が聞く!
無料バスでアートをめぐる!中高生にもおすすめ、「アートウィーク東京」
Part.2 ワークショップで「私にとってのリアル」について考えてみた!
Part.2 ワークショップで
Part.1で紹介した「アートウィーク東京(AWT)」。大倉集古館の「AWT FOCUS」という特別展で行われたワークショップに、しずな、のんのん、りさ、りっせんの4人が参加しました。今回の「AWT FOCUS」のテーマは「What Is Real?(リアルとは?)」。ワークショップでは「自分にとってのリアル」「自分が見えている世界のリアル」について考え、それを象徴する作品を一つ選びます。さてさて4人にとっての「リアル」とは?そして4人はどんな作品を選んだのか?ワークショップ終了後、ユースガイドの大学生にもお話を伺ってきました!
今回の取材メンバー
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しずな Shizuna -
のんのん Nonnon -
りさ Risa -
りっせん Rissen
お話を聞いたのは…?
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向井綾太さん Mr. Mukai
ユースガイド
訪れたのは…?
大倉集古館
大倉集古館は、明治から大正時代にかけて活躍した実業家、大倉喜八郎が、1902年に自邸内に開館した大倉美術館を前身とする。喜八郎は、ホテルオークラの創業者である大倉喜七郎の父であり、大倉集古館はホテルオークラに隣接している。現存する日本最古の私立美術館であり、日本で最初の財団法人の私立美術館。国宝3件、重要文化財13件、重要美術品44件を含む美術品約2,500件が収蔵されている。2025年の「アートウィーク東京」では、特別展「AWT FOCUS」の会場となっている。
まずは自分にとって「リアルとは何か」を考える
ユースガイドの皆さんから「What Is Real?(リアルとは?)」をテーマとした、今回の展覧会の説明を受け、自分にとっての「リアル」とは何か?を考え、意見交換。
ユースガイドの皆さんによるガイドツアー
ユースガイドの方の説明を受けながら、アート作品を鑑賞
自分にとっての「リアル」を象徴していると感じる作品を見つけ出す!
「自分にとってのリアルとは何か?」を考えながら、じっくりと作品を鑑賞。自分にとってのリアルを象徴する作品を1点選びだす。
4人が選んだ作品はコレ!
しずな Shizuna
作品に作者のメッセージが含まれているような作品が好きなのですが、この作品は制作過程の映像もあったので、よりメッセージがあるように感じることができました。写真撮影OKなところも含めて、「道端に落ちているレシートの写真を撮る人」が自然と出来上がるのが面白いです。レシートは刺繍?で作られていて技術とストーリーが詰め込まれている作品だと思いました。
のんのん Nonnon
ぱっと見は「男性が寝ているだけ」のように見える写真でしたが、細部を見ると路上で眠っていて、家がない、あるいは帰れない人を戦時中の状況に重ねた作品だと分かり、強いリアルさを感じました。最初は「戦時中で家に帰れず、外で寝ているのは可哀想だな」と思っていましたが、だんだんと「この男性はどんな夢を見ているんだろう」「戦争とは無関係に、心地よい夢を見ているのかもしれない」と想像が広がりました。人の頭の中をのぞくことはできないので、外見だけで可哀想だと思ってしまったり、ネガティブな印象が先に来てしまう。そうした自分の反応もまた“リアル”だと感じました。そのうえで、相手の心や考えを想像してみることの大切さも学べた作品でした。
りさ Risa
日常が切り取られているような作品を見て、日常生活も「アート」になりうるのだということに改めて気づき、その作品を印象に残ったものとして選びました。また、映像作品であることから、よりその映像の動きに「リアル」な印象を受け、第三者の視点から撮られたような構図が自分の様子を見ているようで印象に残りました。また、暖かい日差しの色合いを気に入ったため、選びました。
りっせん Rissen
ブーツ型の花瓶にたくさんの花が飾られている絵が隣に並んでいた作品だったので関連した作品かと思ったのですが、時代も国も違う二人が似たモチーフを描いたと冊子に書かれていて、時空を超えた繋がりに惹かれました。リアルとは普遍的なものと考えると、この二人は同じモチーフから時間を超えて描く価値を感じた訳で、そこには普遍性が存在する。展覧会のプロデューサーであるアダム氏がこの2作品を隣に配置した理由はほかにもある気がして、本人に聞いてみたいです。
ワークショップ終了後、ユースガイドの大学生、向井綾太さんに聞いてみた!
ユースガイドを始めようと思ったきっかけは何ですか?
一方的に説明をするのではなく、「対話型鑑賞」ができる場所だと思って参加しました。
向井さん: Mr. Mukai: 僕は現在大学生ですが、将来学芸員になることを目指して勉強中です。ここのユースガイドのお仕事は他の美術館のキュレーター(※)の方に紹介していただきました。ミュージアムの世界では、説明する側が一方的に話をするのではなく、鑑賞する方の見方や考え方を引き出す「対話型鑑賞」という鑑賞の仕方が普及しています。ここでのユースガイドはその「対話型鑑賞」が実践できる場なので、自分自身にとってもすごく勉強になるので、昨年から参加しています。
(※)キュレーター:博物館や美術館などで資料の収集、保管、展示、調査研究、企画、運営を行う専門職
ユースガイドとして活動していて、やりがいを感じるのはどんなときですか?
最初はあまり興味が無さそうだった参加者の目が輝き始めるときです!
向井さん: Mr. Mukai: 今日のワークショップでは皆さん最初から興味を持って聞いてくださったんですが、中には保護者の方に連れられて、「アート?何それ?」みたいな参加者の方もいらっしゃるんです(笑)。最初はまったく興味が無さそうなんですが、こちらからいろいろなお話をして、作品を観ながら「どう思う?」「どう見える?」って問いかけていくと、途中からだんだん目が輝き始めて生き生きとしてくるときがあります。そういうときはとてもうれしいですね。また最初の興味の有無にかかわらず、いろいろな参加者の方が作品に向き合って、何かを得ようとしている、その行為そのものもすばらしいことだし、そのお手伝いができていることに大きなやりがいを感じます。
ユースガイドをしていて、大変なことはありますか?
自分が好きなことなので、ついつい話に力が入ってしまいます。時間管理が一番大変かもしれません(笑)。
向井さん: Mr. Mukai: 僕は中高生以上のユースガイドを担当しているので、正直、そんなに大変なことはありません。皆さんに意見を聞くと、ちゃんと自分の考えを言ってくれます。ただ僕自身、とても興味のある好きな分野のことを話しているので、ついつい力が入ってしまってしゃべり過ぎちゃうんです。気が付くとすごく時間を使ってしまっていることも。その時間管理が一番大変かもしれません。
参加者の皆さんにどのようなことに気付いて欲しいですか?
アート作品にはいろいろな見方がある、ということを知って欲しいです。
向井さん: Mr. Mukai: 皆さんが今日ご覧になったように、アート作品の中でも特に現代アートには枠に捉われない、多種多様な作品がありますよね。「これもアートなんだ!」「こんなことしていいんだ!」と思われたような作品もあったと思います。そうした作品に触れることで、新しい見方が一つ増えると思いますし、そういった作品の中に、意外と自分の感性と共通する部分があるんです。アートと向き合う体験をして、いろいろな見方がある、ということに気付いてもらえたらうれしいです。
クイズに挑戦 !!
クイズで楽しく振り返ろう!
Q.2025年「アートウィーク東京」の特別展、「AWT FOCUS」のテーマは?
*答えは記事の最後に掲載。記事の中にも答えがあるよ!
取材を終えて
しずな Shizuna
私はデザインや美術が好きで、美術館に行く機会も多かったので、とても楽しい経験になりました。
アートの読み解き方に正解はないですが、ある程度の基準は必要だと思っていて、今回のワークショップでその基準を掴めたと思います。
そして人それぞれがどうアートを読み取ったかを聞くのがとても楽しかったです。
普段は親と一緒か一人で黙々と心の中で読み解いていますが、今回はそれを共有することができ、創作意欲が湧きました。
人の読み解いた結果を聞くことで新たな視点や新しい発想を得ることもできました。
まず作品だけを観て読み取った後に、配布されたパンフレットで作品概要を読むので、自分なりの解釈が広げやすい空間になっていました。
とっっっても楽しかったです!!
のんのん Nonnon
多くの作品の中から「何がリアルなのか」を考える体験がとても面白かったです。
一見すると日常の風景のように見える1枚の写真も、作者にとっては芸術であり、日常に潜む物事や五感で感じられるものから「リアル」をすくい取っていることを知り、作品の見方が広がりました。
また、作品名や説明のボードが設置されていないため、まず作品と向き合い、自分の感覚で受け取る時間が確保されていることも印象的でした。
アートに詳しくなくても、ガイドの方がその人だけの視点や気づきを引き出してくれるので、「何がアートなのか」「これもアートなのか」という自分なりの答えを見つけることができました。
りさ Risa
ワークショップに参加し、アートには正解がないということを改めて実感することができ、貴重な経験となりました。
普段美術館に行っても、一人で鑑賞するのみだったため、展示されている作品についての自身の解釈や印象を他者と共有するということがとても新鮮でした。
特に、お互いに印象に残った作品を紹介するときには、自分が見たときに思った印象とは異なる視点が得られて、芸術作品を他者と一緒に鑑賞することの楽しさを感じることができました。
普段私が鑑賞するような西洋の絵画ではなく、今回、近代の芸術作品を鑑賞したことは新鮮な経験であったため、そのような作品にも興味が湧きました。
りっせん Rissen
学校の美術の授業で芸術作品を観て、作品を鑑賞することに興味はありましたが、一人で美術館に行くのは手順がわからず不安でした。
そこでこのワークショップに参加できると知り、学校の美術の授業の延長のようなハードルの低い感じだったので参加しようと思いました。
ただ漠然と作品を観て回るのではなく、自分の中でテーマを考えながら作品を観ていくのは、とても楽しく、新鮮な体験でした!
- クイズの答え:
- C. What Is Real?( リアルとは?)